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代表幹事あいさつ

2024年年頭所感

  • 代表幹事
  • 代表幹事 岩山 徹
  • (岩手銀行 代表取締役頭取)
  • 代表幹事
  • 代表幹事 畠山 大
  • (岩手朝日テレビ 代表取締役社長)

 昨年の新年はウクライナとコロナウイルスの話題一色でしたが、一年経って今年はイスラエルとインフルエンザやO157、ノロウイルスといった別な感染症の話題が目に付くように、たった一年で世の中が大きく変わる、そのスピード感が年々加速している感じがしています。昨年10月の東北・北海道ブロックのテーマになった まさにブーカ時代そのもので、全く先が読めない、不確実な時を生きていることを実感させられています。

また昨年早々に、ニューヨークタイムズの今年行くべき世界の都市の2位に盛岡が選ばれて県内でも、国内外の観光客が増えてきた印象がありますし、実際に、日本全体としては円安やコロナの収束もあり、インバウンドが右肩上がりで伸びた一方で、県内経済は実際の数字とは別に県民の肌感覚としては回復しきれてない印象もあり、沿岸や内陸部の温泉ホテル等が経営破綻するなど、燃料や光熱費の高騰、従業員の確保など、単に観光に限らず、県民生活はまだまだ安定にはほど遠い感じがしています。

 辰年は政治が動く年と言われているそうで、確かに12年前は野田総理大臣のもと民主党が選挙で歴史的大敗をし、自民党が圧勝して2度目の安倍晋三内閣が誕生したり、海外では中国で習近平国家主席が誕生し、韓国では朴槿恵大統領、北朝鮮では金正恩氏が第一主席に就任など今につながる流れの発端が起き、ちなみにその前の辰年の2000年はロシアでプーチン氏が大統領となり、確かに政治的に大きなことがある年な気がしますが、
 個人的には 12年前の新年は、東日本大震災後、被災者が初めての正月を迎えたタイミングで、私も東京から沿岸の実家に戻っていて、その時、故郷の復興に今後力を尽くしたいと岩手に帰る決断をした年でして、あれから12年経って、大した貢献が何も出来ていない自分に少しがっかりしていまして、改めて頑張らねばならないと決意を新たにしています。

 日本全体としては、円安で、空前の決算を記録している企業もあると聞いてますが、国民の感覚としては景気が上昇しているといった実感はあまり感じていないのではないでしょうか。
 県内でも 賃上げ等を積極的にやれる企業は限られていて、半導体関連で熊本や北海道の千歳、宮城の大衡村など盛り上がっているエリアが国内でもありますが、反面、同じ半導体の中でもメモリー事業は決して安心できる状況にはないとのことで、岩手県にとってはとても深刻な問題だと心配しています。
 昨今の気候変動による猛暑や豪雨災害などの影響を受けやすい農水産業でいかに安定的な収益を確保して行けるか、AI技術を活用したり、水産業では陸上養殖などへの転換、トライは必要だと思っています。昨年、同友会の例会の講師の先生方からたびたびご指摘がありましたが、岩手はこれからの日本を救う可能性のある、林業を支える山々、エネルギーから食物まで、あらゆる物の源に成り得る広大な海、そして、今後、温暖化が進む世界中で唯一、安定的に降り続けるだろう雪という資源を持ち、それらは岩手の誇るべきアドバンテージとなって行くと言ったお話をヒントに、これらをいかに、我々の現実の経済、生活に取り込んでいけるか。これからの大きな課題だと思っています。
 4月から住民税の復興特別税が森林環境税に変わりますが、森林資源の活用は今後岩手の復興を後押しする大きな可能性があると思います。

 またILCとか、講師の先生方がおっしゃった、我が国は経済だけでなく、科学技術、学術全般でも大きく後退していて、「日本はすでに先進国ではなくなった」という言葉に代表されるように、WBCなどのスポーツ分野での躍進等で、国民が国そのものが世界のトップに近づいたと思っているうちに、実態としては、どんどん中、後進国に追い抜かれているという現実に対して、将来を見据えた各種研究分野への国の支援がとても大事だと思いますし、政治が、日本の未来に向けた大いなる指針を国民に示し、大局的な投資をする、その覚悟、本気度を示す時が来ている気がします。

 人手不足は、インバウンドへの対応にも影響が出ていますし、特に地方ほど、バスやタクシーなどの輸送関連での労働力不足は大きな課題となっています。そんな中で、労働資源の活性化は急務です。特に女性や高齢者の活躍の場を作り出し、その方々を積極的に登用する多様な環境、選択肢を整えていく必要があると考えています。また、中堅社員の単なる転職ではなく、一定の枠組みの中で、出たり入ったり、業種や会社を越えた闊達な人材交流が出来るようにして、個々人が持つ可能性を最大限活かす仕組みを考えて行きたいと思っています。

 先程も言いましたが、まさに確実に時は立ち止まらずに流れて行き、その間にも岩手を含む日本は、どんどん立ち遅れて行く懸念がある中で、岩手経済同友会として長く続けてきた素晴らしい財産と言える「岩手経済戦略会議」 から昨年の「東北・北海道ブロック会議」を経て、今年 将来を見据えた新しい取り組みをスタートさせたいという声も会員の皆さんから頂いていますので、60周年が過ぎて、岩手経済同友会の存在意義を再構築していく新たなスタートの年に出来たらといいなと思っています。そのためには、会員の皆さんと一緒になって闊達な意見交換をして今まで以上にコミュニケーションを取って参りたいと思っております。

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