代表幹事あいさつ
2025年年頭所感
- 代表幹事 岩山 徹
- (岩手銀行 代表取締役頭取)
- 代表幹事 畠山 大
- (岩手朝日テレビ 代表取締役社長)
今年は、日米両国において政治と経済の両面で大きな動き、ダイナミズムが顕現化する年になると思います。政治面においては、日米で新たなリーダーのもとで政策のかじ取りがなされることになります。
本県においても間接的なものを含めて両国との輸出入を行っている企業が多く、トランプ新大統領の対中姿勢には常に注目していく必要があろうかと思います。次に日本においては、「経済成長」「物価高の克服」「国民の安心・安全の確保」を3つの柱とする経済対策が決定しており、速やかな予算の執行により実体経済に好影響を与えることを期待したいところです。ここで日本経済についてやや俯瞰的な見方をしたいと思います。私は経済の活性化には消費活動が大きな役割を持っていると考えておりまして、個人消費の源泉は言うまでもなく消費者の所得ですので、その水準が継続的に改善の動きとなることが重要であり、企業の賃上げや最低賃金の引き上げなどにより物価の上昇に負けない賃金水準が実現していくことが期待されます。ただし、その賃金を支払うのは企業であり、賃金を引き上げていくためにはそういった企業の収益構造を強固なものにしていかなければなりません。原材料やエネルギー価格の上昇などが経営課題となって久しいなか、限られた経営リソースを最大限に活用していくためには、生産性の向上が大きなポイントとなります。そして、賃上げの実現と実質賃金の向上が消費者の消費拡大につながることを通じて企業の活動量の増加に結び付くといった形で、我が国経済において足腰の強い循環が実現していくことを強く期待したいと思います。
今年の本県経済については、全国の見通しと同様に個人消費の動向が鍵を握ると考えています。そしてポイントは賃上げの浸透、つまり実質賃金の継続的な増加であります。しかしながら、毎月勤労統計調査(岩手県ふるさと振興部)によりますと、本県の実質賃金指数は前年比でプラスとマイナスを行き来する動きとなっており、物価高に負けない賃金水準が実現しているとはいいがたい状況にありますので、全国の状況で述べたとおり、今後は生産性の向上を図る中で企業の収益状況の改善と賃上げが並行して実現していくことが求められると言えます。
本県においては、様々な業種の多様な企業が経済活動を営んでおり、自社の製品やサービスの高付加価値化を不断に追求しています。今年はそういった取組みが実を結ぶ中で企業収益が改善し、実質賃金のプラス基調が明確となる節目の年となるものと信じておりますし、岩手経済同友会としても地域経済の活性化に向けて経営者の皆さまに有用な情報の提供に常に努めていきたいと考えています。