代表幹事あいさつ
2022年年頭所感
- 代表幹事 高橋真裕
- (岩手銀行 代表取締役会長)
今年はポストコロナを見据えてしっかり準備をし、一歩踏み出す年にしたいと考えています。その実現に向けて思っていることが3点あります。1点目は、「神様は乗り越えられない試練は与えない。自分が乗り越えられない壁はないと思っている」。これは水泳の池江瑠花子選手が白血病の診断を受けたあとに述べた言葉です。私はポストコロナを見据えて一歩を踏み出そうとする時、一番必要なのは意志の力だと考えます。池江選手の言葉にはまさにその意志の力が含まれています。それがみごとオリンピックでの活躍に繋がった。我々経営者もさまざまな問題に引っ張られて悲観的な考えが強く出てきますけれども、自らの役割をしっかり見据えて一歩を踏み出す。その一歩が大きなエネルギーとなって岩手の経済を回していくことができると考えます。
2点目は、トヨタ自動車東日本(旧関東自動車工業)の社長、会長をされた内川晋さんが、「岩手の人は一人ひとりは能力が高くて優秀だけれども、それが全体の力に繋がっていない」というお話をされました。しかし私は腹に落ちるところがなかったわけです。一昨年、岩手経済同友会でトヨタ自動東日本岩手工場を見学する機会があり、その時、工場長から次のようなお話を聞きました。この工場は自分たちで考え、自分たちで作っている。2500人のカラクリマンが2500通りのカラクリを発揮しながら世界に冠たる車を作っている工場だと。それを聞いて内川さんの言葉に腑に落ちるものがあったわけです。岩手の人は指示されたことはしっかり行う。こういう優秀さです。しかしそれだけでは世界と戦うことはできない。世界ナンバーワンのクルマづくりためにはもっといい車を作ろうという一人ひとりの強い信念と想像力、知恵を出し合う。こういったことで一人ひとりの力が全体の力に切り替わっていくのだろうと納得したわけです。経済同友会も一人ひとりの力を結集しながら全体の力に変えて岩手の経済をしっかりしたものにしていこうと考えています。
3点目は、今年いただいた年賀状で最も印象に残っているのは、松下幸之助の言葉を引いた一枚です。「人と比較して自分が劣っていることは恥ずべきことではない。ただし、去年の自分と今年の自分を比較して、去年より今年が劣っていることは恥ずべきことだ」という言葉です。我々も前の年と比較して成長できているのかどうか、一度自分に問いかけながらこの一年を有意義な年にしてまいりたいと考えています